はじめに
突然ですが、 皆さんの周りにLGBTQの当事者はいますか?
多くの人は「いない」と答えるかもしれません。
LGBTQは性的マイノリティの人たちを現す時に使われる表現の一つで
Lは女性同性愛者(レズビアン)
Gは男性同性愛者(ゲイ)
Bは両性愛者(バイセクシュアル)
Tは生まれた性別と生きたい性別が違う人(トランスジェンダー)
Qはクエッショニング又は、クィアと表現され自身の性の在り方がLGBTに該当しない、はっきりしてない人を現します。
また、その他にも最近では
Xジェンダー(男でも女でもない/ある性の在り方)や、アセクシュアル(他者に対して性的欲求を抱かない人)など、性の在り方や表現も多様化しています。
LGBTQの割合は約8.9%(「LGBT調査2018」電通ダイバーシティ・ラボ)、11人に1人の割合で存在すると言われています。
最近では、左利きの人や、AB型の人とほぼ同数存在するというような表現をされることもあり、実はとても身近な存在なのです。
でも、多くの人は周囲にLGBTQ当事者は「いない」と思っています。
-なぜ、いないのか?
その理由は、ほとんどの当事者は自分がLGBTQであることを公表(カミングアウト)していないからです。
カミングアウトしてしない、という表現は少し違うかもしれません。
実際にはカミングアウト「出来ない」のです。
ある調査では誰にもカミングアウトしていない当事者は8割にのぼると言われています。
-なぜ、カミングアウトできないのか?
LGBTQ当事者が「自分の存在が見えづらい世界」に生きているからです。
-あの人、オカマじゃない?
-女らしくない
-彼氏できた?
こんな言葉を学校、職場の中で聞いたことがある人もいると思います。
このような言葉は、時にLGBTQ当事者の存在を傷つけ、当事者の生きづらさに繋がることがあるのです。
様々な場面でLGBTQ当事者は自分達の存在が無いものとして扱われ傷つけられることに直面しているのです。
また、ある調査ではLGBTQ当事者は、学校生活を送る上で約2人に1人はいじめを受け、約4人に1人は不登校を、約7人に1人は自殺未遂(ゲイ・バイセクシャル男性に関する統計)を経験しているという調査結果もあります。
多くの当事者は幼少期~学生時代にかけ自身の性の在り方(以下、セクシュアリティ)が原因となって学校生活に支障をきたしているのです。
私が昨年訪問した学校で
一人の学生ちはるさんが、みんなの前でこう言いました。
「私はLGBTQの当事者です!」と。
LGBTQ当事者がカミングアウトをすることは簡単なことではありませんが、ちはるさんは多くの学生の前で突然自分のセクシュアリティを明かしたのです。
―なぜ、カミングアウトしたのか
「自分と同じ仲間の存在に励まされ、自分も若者を救いたい」と思った
私は、1年に1度この学校へ訪問をしていますが、ちはるさんに会ったのは去年が初めてでした。授業の時間は約45分でしたが、その1時間にも満たない時間をLGBTQの当事者である私たちと共に過ごせたことが、ちはるさん自身の存在を肯定し、そしてカミングアウトするきっかけを与えたのです。
その後、ちはるさんは学校や家庭の中で自分自身のセクシュアリティを公表し、更には学校の中で学生向けの講演イベントを計画するなど積極的に活動を行うようになりました。
周囲からも「雰囲気が(明るく)変わったね」と言われるようになり、この日をきっかけに自分のセクシュアリティを前向きに捉えられるようになっただけでなく、その後の学校生活をガラッと変えるきっかけになったのです。
ちはるさんは、続けて将来の夢をこう語っています。
「自分のセクシュアリティをオープンにした生徒と一緒に、
成長していく学校の先生になりたい」
LGBTQの当事者と出会えたことは、
ちはるさんの将来の夢にまで影響を与えたのです。
私も実はLGBTQの当事者レズビアンです。
高校生の頃に同性から告白されたことをきっかけに、自分のセクシュアリティについて考えるようになりました。
高校では誰にも相談できず、いじめを経験しました。
自分自身を肯定することができずに、死んでしまいたいと思うこともありました。
もしその時に、自分と同じような仲間に出会えたり、相談できる先生や場所や情報があれば、どれだけ救われただろう。
そしてどれだけ将来に希望を持って生きることが出来ただろうと、振り返ります。
LGBTQ当事者であることでいじめを受けたり、不登校になってしまったり、自分らしく学校生活が送れない状況を変えたい!
この問題を、より多くの人と共有していきたい!
そう思い、クラウドファンディングを行うことにしました。
支援が必要な理由
私は、自分自身の経験や、ちはるさんの経験を通して学校へもっと当事者の存在を知ってもらい、LGBTQに関する情報を伝える必要があると考えました。
また当事者だけでなく、学校や保護者や、地域など様々な人たちへ働きかける必要があると思いました。
そして、LGBTQの若者の姿や、学校での課題、悩み、解決の糸口などを前向きに広く共有していく必要があると感じました。
そう考える理由はただ一つです。
「全ての学校にLGBTQの当事者がいるから」
そしてこれらの目的を達成し、学校や地域、社会を変えていくための手段としてLGBTQの若者のリアルを「マガジン」にして発信していきたいと考えています。
また、当事者の存在だけでなく教員や、保護者、地域に住む方々など様々な視点からLGBTQの課題を共有し、一緒に解決していくきっかけとなるマガジンを作りたいと思います。
クラウドファンディングに挑戦する理由は3つあります。
①より多くの学校へLGBTQの存在を伝えたい
マガジンを作成するにあたって、LGBTQの若者や、学校と繋がる必要があると思っています。そこで、入り口として学校でLGBTQの講演や授業、各学校へのLGBTQに関するアンケートを検討しています。しかし、学校によっては講演や授業を依頼する予算のない学校も多くあります。また、アンケートの実施にも費用がかかります。そのため、より多くの学校と繋がることができるように資金を集めたいと思っています。
②より多くの学校に無料でマガジンを配布したい
LGBTQ当事者の存在を知ってもらうためには、出来るだけ多くの学校に情報を発信していく必要があると思っています。現状では、LGBTQへの課題意識の高い先生が個人や学校単位で行うのみに留まっており、LGBTQに関する取り組みを積極的に実施している学校は少なく、また情報が共有されず、相談できる場もないため課題が解決されにくい現状があります。
ある調査では、「教育現場でLGBTQに関する内容を教える必要がありますか?」という問いに対して、約7~8割の教員が必要性を感じています。しかし、実際に授業に取り入れた経験のある教員は、15%程度に留まっており、多くの教員や学校がLGBTQに関する情報を伝える必要があると感じる一方で、実際の取り組みには至っていないのが現状です。
その理由として「教える必要性を感じる機会がなかった」「教科書に書かれていない」「教えたいと思うが教えにくい」等の課題感を持たれているようです。
学校には確実にLGBTQの当事者がいる。
でも授業に取り入れることや、情報を発信していくことには困難さがある。
この問題を解決するために、学校と繋がりを作りマガジンを作るだけでなく、より多くの(できれば全ての)学校へ無料で配布したいと思っています。
③より多くの人と、LGBTQに関する課題を共有したい
昨今LGBTQに関する社会の変化が様々な所で見られるようになりました。2015年から同性同士の関係を自治体が承認するパートナーシップ制度が東京都渋谷区・世田谷区で始まり、現在(5月1日時点)は209の自治体で同様の制度が施行されており、国内人口の50%以上を補うに至っています。また、企業においては「LGBTQフレンドリー」な企業が増え始め、work with Prideという任意団体が実施しているPRIDE指標(企業でのLGBTQへの取り組みを評価するもの)では、年々参加企業が増え2021年は国内で298の企業が表彰を受けています。少しずつ、LGBTQ当事者の存在が可視化され、自治体、企業レベルで性の多様性を含む様々な価値観が尊重されようとしています。
しかし、一方でパートナーシップ制度も、企業における取り組みも、全てのLGBTQ当事者の生きやすさには繋がっていません。
例えば、パートナーシップ制度を北海道でみると179の自治体のうちパートナーシップ制度が導入されているのは(予定含む)わずか5つの自治体のみであり、残り174の自治体では同性同士のカップルの存在を証明できるものはありません。病院でのお見舞いや、マンションを借りる際にも、互いの関係性を証明できるものがなく、場合によっては互いの関係性を明かさずに「知人」や「兄弟」等として生活を共にする同性カップルもいます。
また、LGBTQフレンドリーな企業や病院等が増えつつありますが、多くは存在が可視化されやすく、LGBTQの研修や情報が得られやすい大企業や都市部に集中しており、地方の中小企業や医療機関がLGBTQフレンドリーとなるためには、ハードルの高さがあります。
また学校となると、地域差もありますが前述の通りほとんどの学校ではLGBTQに関する授業や情報発信が行われていないため、当事者、非当事者に関わらず多様な家族や、多様な性の在り方を知る機会がないまま大人になる人も多く、「知らない」ことによって起こるLGBTQに対する差別や偏見もまだまだ社会の中に溢れています。
そのようなことから、年齢や、立場、地域に関係なく一人でも多くのアライ(支援者や理解者)を増やしていく必要があると思っています。特に、都市部だけでなく地方にこそ、そして学校にこそアライの存在が必要だと思います!
そのため、クラウドファンディングでこの問題を一緒に解決する仲間を1人でも多く作っていきたいと思います。
支援の使い道
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- マガジン印刷費 400,000円
- マガジン作成(取材、撮影、原稿作成、デザイン)費 300,000円
- マガジン郵送費 200,000円
- 備品代(紙、封筒、文房具、プリンタ、インク等)100,000円
合計100万円
LGBTQの若者にスポットを当てたマガジン。
LGTBQの若者がどんな学校生活を送っているのか、悩みや、恋愛、自分らしく生きるための極意など当事者のリアルを発信!
学校におけるダイバーシティの取り組みや問題解決事例等を盛り込み、若者だけでなく先生、保護者、地域など様々な視点からLGBTQの課題を前向きに解決する方法を共有できる一冊!
※初回はA4版両面カラー(約36ページ/10,000部)のマガジンを北海道内の中学校~大学を対象に約1,000校へ配布予定です。資金が集まらなかった場合は、1000校の配布は難しくとも可能な範囲で配布をしていきます!
(クラウドファンディングの支援者や支援金の増加によっては北海道に拘らず更に配布する学校数や、地域を拡大していきます。)
さいごに
私は、LGBTQの当事者として高校時代にいじめを受けたり、LGBTQである自分は存在してはいけないのだと自分自身に思い聞かせながら生きてきてしまいました。
でも、今日まで色々な人たちと出会い支えられるうちに、少しずつ自分自身を肯定することができるようになり、今はLGBTQである自分にプライドを持って生きることができています。
今も、学校の中で自分の性について悩んだり学校へ行けなくなったり、自分のことを受け入れずにいる若者が沢山います。
でも、その状況はちょっとした変化によって変わることがあるかもしれません。もし、その変化によって1人でも救われる当事者がいるのであれば、小さな変化を起こす価値があると思っています。
私は伝え続けます!
-私たちはここにいる-
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【プロフィール】
柳谷由美
1986年北海道生まれ
幼少期から親と弟(脳性麻痺)の影響を受け、医療の世界に興味を持つ。
高校で自分がレズビアンであると認識する。
大卒後は作業療法士として精神科医療に従事。
24歳頃、今まで自分のセクシュアリティを隠して生きていたことに苦しさを感じ全てをオープンにして生きると決意し、現在までLGBTQの啓発活動や、当事者の居場所作りなど様々な活動へ参加をする。
【これまでの活動】
2010年9月
札幌市で行われていたLGBTQのプライドイベント「レインボーマーチ札幌」へボランティアとして参加をする。
2010年12月~
女性向けの交流イベントを1,2カ月に1回の頻度で開催する。
2012年4月~2013年9月
「レインボーマーチ札幌ファイナル」に実行委員として初めて参加する。女性向けの居場所作りや、他団体・企業との繋がり作りなどを行う。
2015年~
北海道内で交流イベントを行うメンバーと共に「にじいろほっかいどう」という団体を立ち上げ、2021年12月まで理事長として参加する。
2017年12月~
2013年まで存続した「レインボーマーチ札幌」の意志を受け継ぎ、新たに「さっぽろレインボープライド」という名前で再び札幌市内にてLGBTQプライドイベントの開催を行い、実行委員長を勤める。
2018年~
北海道内で活動する団体と共に各団体が連携して情報共有や、行政への政策提言などを行いやすい「北海道LGBTネットワーク」を立ち上げ、副代表を勤める。
2022年4月
株式会社「ブラッシュ・アップ」を設立し、教育機関や企業などへの講演活動や、啓発活動などを行っていく。
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